【社会学】恋愛と愛の違いとは?エーリッヒフロムの著書「愛するということ」
こんにちは、大久保です。
「恋愛と愛の違いを説明してくれ」と聞かれたら、どう答えるか?
先週、「ロマンティク・ラブ・イデオロギー」について書いたら、
反響があり、『恋愛にまつわる話が好きなのね〜』と思いました。
ということで今回はエーリッヒフロムの著書
「愛するということ」(英題:the art of loving)
について書いていきたいと思います。
題名からして、
自己啓発本か恋愛テクニックの本と勘違いしそうですが、
ドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者の「愛の哲学」を述べた本
です。
そのため非常に難解なので要点を書きたいと思います。
「愛する」とは何かと書いた本の3つの要点
画像:愛するということ / フロム,エーリッヒ【著】〈Fromm,Erich〉/鈴木 晶【訳】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストアより
この本の要点は次の3点です。
①『愛』は後天的に身につける技術
- 英題に”the art of loving”とあるように、フロムは『愛することは技術である』と述べている。
- 愛するにはまず前提として知識をいれ、練習が必要であると。
つまり、忍耐、努力、修練が必要ということです。
②『愛』は真に人間の欲求を満たすものである
フロムは、
- 見返りを求めない行動「与える」ことこそが「愛する」ことと述べる。
- 動物的に本能(無意識)に従うフロイト的な考え方でない。
- 理性的で人間の真の欲求(孤独感の充足)を満足するものである。
と言っています。
③ 現代社会での『愛するということ』
フロムは、現代社会で「愛」は誤解されており、「愛する」ことが難しいと述べています。
見返りを求めない「愛」は、資本主義・市場原理の世界では、実践しづらいからです。
だからこそ「愛する」ことが社会全体で実践することに意味があるとしています。
動画による要約(『フェルミ漫画大学』より)
↓↓↓↓
現代社会で「与える人(Giver)」が成功する「GIVE & TAKE」
画像:三笠書房より
現代社会で与えることのメリットについて書いた本が
アダム・グラントの「GIVE & TAKE」です。
■人は3つのタイプに分けられる:「与える」ことはリスクもある
アダム・グラントは、
現代社会には「与える人(Giver)」・「取る人(Taker)」・「均衡する人(Matcher)」がいると述べています。
社会調査の結果、
「与える人(Giver)」がもっとも社会的に成功する
と書いていますが、
「取る人(Taker)」に気を付ける必要があるとも書いています。
たしかに、
テレビのニュースなんかを見ていると
現代社会で「与える」ことに、リスクはあると感じることが多いですね。
動画による要約(『フェルミ漫画大学』より)
↓↓↓↓
■フロムの考える「与える人」
エーリッヒフロムは、
見返りを求めずに他者にする行動「与える」行為が「愛する」こと
と述べています。
フロムは、
「愛する」ことに見返りがあるとすれば、
『相手を愛すれば、相手も愛で応えてくれると信じるしかできない』
と書いており、
より哲学的であることがわかるかと思います。
感想:『愛する』とは、自由・寛容だと思う
「恋愛と愛の違いを説明してくれ」
と聞かれたら、どう答えるだろうか?
■「現代的な恋愛」と『愛する』ことは真逆?
エーリッヒフロムの著書、「愛するということ」を読むと
ロマンティックラブイデオロギー的な
「現代的な恋愛」と『愛する』ことは真逆の発想になる
とわかると思います。
「現代的な恋愛(ロマンティックラブイデオロギー)」は感情的で短期的、
あるべき論で行動を制限し、受け身な姿勢なのに対し、
『愛する』ということは、
より理性的で長期的、能動的で自由や寛容であること
かなと思います。
自由や寛容を促す能動的な他者への関わりが、
自身の孤独への充足を満たすことになる
ということだと思いました。
以上